マニラ首都圏マカティ市の閑静な住宅街の一角に、マニラ日系人会があります。

日頃から懇意にさせていただいている代表のMr. YURI YOSHIDAさんと、日系人を取り巻く諸問題と今後の展望について議論いたしました。

大正時代以降、わかっているだけでもおよそ12万人もの日本人が輝かしい未来を夢見てフィリピンを目指しました。当時のフィリピンはアメリカ合衆国の一部であり、新天地で安定した生活を確保するためには、原地のフィリピン人と結婚して永住権を取得することが唯一の手段だったそうです。

こうして日本人とフィリピン人の第一世代がスタートするわけですが、彼らの生活を180度変えてしまったのが、昭和16年の太平洋戦争勃発です。

言語では語り尽くすことのできない過酷な生活を余儀なくされた第一世代の方々の中には、人目を避けてつつましく生活するために、マニラからフィリピン全土へと避難する方も多かったようです。

毎日の生活を紡いでいくために家族総出で農業に従事していたため、子どものための法的な手続きや教育がないがしろにされてしまいました。

ここが、日系第二世代や第三世代の方々を苦しめている原因の一つです。日本人の子どもとして出生したにも関わらず、公的な書類が見つからないのです。

時が流れ、第一世代の故郷日本が天文学的な復興を成し遂げると、まだ見ぬ母国に戻りたいと願う第二世代、第三世代の方々がとても増えました。

しかし、日本人としてのルーツを示す資料が乏しいため、日本人親の戸籍謄本に記載されておらず、結果として公的にはフィリピン国籍者としての来日しか認められないのです。

そこでYOSHIDAさんと当職は、これから協力して戸籍以外の客観的な資料の収集に着手し、一人でも多くの日系人の方々が就籍できるよう尽力していくことで一致いたしました。

すべては日系人の方々の笑顔のために・・・